東京藝術大学＋東京科学大学　共同シンポジウム「科学と芸術　人類の未来　～マッチングファンドによる取組事例から～」を開催（11/26）

11月26日（水）、東京藝術大学（藝大）と包括連携協定を締結している東京科学大学（Science Tokyo）は、共同シンポジウムを、本学上野キャンパス大学本部棟１階多目的スペースにて開催いたしました。

本学とScience Tokyoは、2023年度から継続的に両大学の研究者同士の交流を図る研究マッチングイベントを開催しています。また、そこで生まれた研究の種を育てるために、2024年度からマッチングファンドによる研究助成も行っています。

今回のシンポジウムは、2024年度、2025年度の計2回の公募で採択された研究課題（計12課題、うち1課題は継続課題）から2つの研究をピックアップし、その事例紹介を中心に行われました。

冒頭の渡辺義浩准教授（Science Tokyo）の講演「プロジェクションマッピングで揺さぶる質感」では、本学の美術領域の教員?学生が日常的に使う言葉である「質感」のうち、特に視覚的な質感について、科学的な分析に基づく理論的解説と、それらに基づいて制作された「ダイナミック?プロジェクションマッピング」の作品の紹介があり、司会を務めた岩田広己理事（研究担当）（藝大）から「本学の美術領域の教員?学生にとっては、非常に刺激的な内容だったのではないでしょうか。」とのコメントがありました。

渡辺准教授（Science Tokyo）の講演

取組事例の発表では、両大学の研究者がそれぞれ登壇し、共同研究に至った経緯や、研究内容、今後の展望などについて発表を行いました。どちらの研究も、両大学の研究者のそれぞれ全く異なる専門性を生かされた協働が行われており、2023年度から続けてきた研究マッチングイベントの効果が示されました。また、今後の発展性や、社会実装も期待されます。

「動機づけを重視したゲーム行動症向け認知行動療法アプリ開発に関する予備的研究」　
小林七彩助教（Science Tokyo）（上）、大石みちこ教授（藝大）（下）の報告

「デジタル技術を応用したエアリード楽器ガイドの開発」
羽田多麻木助教（Science Tokyo）（左）、藤原道山准教授（藝大）（右）の報告

参考： 芸術未来研究場展2025
　　　https://geidai-park-exh.geidai.ac.jp/exhibition/2025_016/

パネルディスカッションでは、本学が進める「芸術未来研究場」と、Science Tokyoが進める「ビジョナリーイニシアチブ（VI）」について、日比野克彦学長（藝大）、大竹理事長（Science Tokyo）からそれぞれ説明がありました。さらに、VI に掲げられている3つのビジョン「善き生活」「善き社会」「善き地球」がマッチングファンド採択課題（又はその課題のScience Tokyo側研究者）と、具体的にどう関係しているかについて、田中雄二郎学長（Science Tokyo）から解説がありました。全学横断組織として構想されているという共通項がある「芸術未来研究場」と「VI」の下での、科学と芸術の融合、そして両大学間のさらなる交流について、ディスカッションが展開されました。最後に、モデレーターの伊藤達矢社会連携センター長（藝大）が、「『善き』という言葉が科学と芸術をつなぐ架け橋になりそう」と述べ、ディスカッションを締めくくりました。

左から、田中学長（Science Tokyo）、大竹理事長（Science Tokyo）、日比野学長（藝大）によるパネルディスカッション（一番右はモデレーターの伊藤センター長（藝大））

参考：東京藝術大学芸術未来研究場
　　　https://geidai-park.geidai.ac.jp/about/

　　　東京科学大学ビジョナリーイニシアチブ（VI）
　　　https://www.isct.ac.jp/ja/017/research/visionary-initiatives

また、共同シンポジウムの終了後、会場を移して、両大学の関係者のみでの研究者交流会（研究マッチングイベント第５回）も開催されました。研究アピールタイムでは、発表希望者が想定を大きく上回り、希望者全員が発表することは叶いませんでしたが、両大学とも参加者の積極的な姿勢が際立っていました。続いてのフリートークでも、研究者同士が親交を深め、今後、新たな共同研究が生まれる可能性を感じさせる会となりました。

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【プログラム】
開会あいさつ　日比野克彦（東京藝術大学長）
講演「プロジェクションマッピングで揺さぶる質感」
　　渡辺義浩　東京科学大学工学院 准教授
取組事例①
　　「動機づけを重視したゲーム行動症向け認知行動療法アプリ開発に関する予備的研究」　
　　小林七彩　　東京科学大学?サイバー精神医学講座?ジョイントリサーチ講座 助教
　　大石みちこ　東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻 教授
取組事例②
　　「デジタル技術を応用したエアリード楽器ガイドの開発」
　　羽田多麻木　東京科学大学大学院医歯学総合研究科 助教
　　藤原道山　　東京藝術大学音楽学部邦楽科 准教授
パネルディスカッション & 質疑応答
　　「Science Tokyo×藝大から生まれる可能性」
　　パネリスト　大竹尚登（東京科学大学理事長）
　　　　　　　　田中雄二郎（東京科学大学学長）
　　　　　　　　日比野克彦（東京藝術大学長）
　　モデレーター　伊藤達矢（東京藝術大学社会連携センター長）
閉会あいさつ　波多野睦子（東京科学大学理事?副学長（研究?産学官連携担当））